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横須賀線 田浦駅 (2012年12月2日)
〜トンネルとドアカット、米軍田浦専用線〜

はじめに
大船駅北鎌倉駅鎌倉駅逗子駅東逗子駅
田浦駅、横須賀駅衣笠駅久里浜駅

● 2012年12月2日(日)

 先日(11月27日)、読売新聞 にこんな記事が載りました。

 YOMIURI ONLINE (読売新聞)
 線路「平面交差」横須賀市保存へ
 http://www.yomiuri.co.jp/otona/railwaynews/04/kanagawa/20121127-OYT8T00367.htm

 横須賀線 田浦駅 の周辺に、1998年ごろまで使われていた 引き込み線(専用線) があります。この 引き込み線 は、 在日米軍田浦送油施設 からの燃料輸送などに使われていたらしいのですが、なんという名称が正しいのか私は知りません。他の人のサイトなども参考に、ここでは 「米軍田浦専用線」 と記載することにします。
 その 米軍田浦専用線 ですが、読売新聞の記事によると、全国的にも珍しい線路が 平面交差 をしている個所があり、その部分の線路を保存することが決まったのだそうです。しかし、他の部分は市道の工事により線路の撤去進められおり、踏切なども来年2月までには撤去されてしまうとのこと。
 引き込み線 があることは知っていましたが、迂闊なことに市道の工事が行われていることは知りませんでした。保存される部分は後からでも見に行くことができますが、撤去されてしまう部分はその後に行ったのではどうにもなりません。
 というわけで、写真の1枚でも撮っておこうかと、今日は早起きをして 田浦駅 まで行ってくることにしました。


 田浦駅 と言えば、いわゆる ドアカット が有名です。一応説明すると、田浦駅 のホームは、その両端を トンネル に挟まれており長さが10両程度分しかありません。ところが、横須賀線 の列車は 11両編成 のものが多く、その11両編成の列車の場合は、下り上りともに先頭車がトンネルに入った状態で停車 し、先頭車の全部のドアと2両目の1番前のドアが締め切り(ドアカット) になります。というわけで、田浦駅 を訪れるのであれば、この ドアカット に触れないわけにはいきません。
 田浦駅 の直前までは先頭車の運転室の後ろに陣取っていましたが、田浦駅 が近づくと慌てて2両目の2番目のドアへ移動しました。


横須賀線 田浦駅 8:13着

 写っているのは前から2両目です。
 その1番目のドアは閉まっていますが、その次のドアは開いています。

 なお、田浦駅 で締め切りになってしまうドアには、その旨を知らせるステッカーが貼ってあります。


田浦駅で締め切りを知らせるステッカー

 このステッカーは、横須賀線11両編成 の上り下りともに先頭車と2両目の1番前のドアに貼ってあります。
 ただし、はがれてしまったのか、貼っていないドアも多く、実際、私が 田浦駅 まで乗車した列車では、久里浜寄りの先頭車は8か所中3か所、2両目の1番前は2か所中1か所しか貼ってありませんでした。


田浦駅 久里浜側の七釜トンネル

 ホームの久里浜寄りは、七釜トンネル(しっかま) に行きあたります。この 七釜トンネル は、中央の 横須賀線下り線明治時代、右側の 横須賀線上り線大正時代 にぞれぞれ造られ、そして一番左の 引き込み線昭和 になってから造られたのだそうです。
 中央の 下り線電化時 に大幅に改造されてしまったそうで、そのために右側の 上り線 が一番古そうに見えます。その点は残念な気もしますが、3世代でそれぞれ作りが違い、なかなか面白いことになっています。

 ちなみに、11両編成上り列車 の最後尾は、この↓↓ような感じで停車します。


横須賀線 田浦駅 千葉行き 8:16発

 写っているのは一番後ろ(久里浜寄り)の車両ですが、なんとかギリギリでホームに入っているのがお分かりいただけると思います。

 それでは、大船側へ移動していきましょう。


田浦駅 駅名標

4両編成の停車位置を知らせる看板

 トンネルに突っ込んで停車するのは 11両編成 の列車の場合です。
 横須賀線 逗子−久里浜 間 には 4両編成 の列車もありますが、その場合は、ホームの中ほどに停車しますので ドアカット はありません。


改札口への階段

駅舎を支える柱

この柱にはレールが使われています。

引き込み線のレールと横須賀線下り線のレール

 今は繋がっていませが、引き込み線 が現役だったころはこの辺りで繋がっていたのかもしれません。

 さて、ホームの大船側に到着しました。


田浦駅 大船側の田浦トンネル

 ホームの大船寄りは、田浦トンネル に行きあたります。右側の下り線は 明治時代、左側の上り線は 大正時代 に造られました。11両編成 の列車は、こちら側も久里浜側と同じように停車します。


横須賀線 田浦駅 横須賀行き 8:23発

 これは 下り列車 で、写っているのは一番後ろの車両ですが、なんとかギリギリでホームに入れています。

横須賀線 田浦駅 東京行き 8:36発

 これは 上り列車 ですが、下り列車の久里浜側と同じように先頭車両はトンネルに入った状態で停車し、さらに2両目の1番前のドアも締め切りになっています。

 久里浜側、大船側ともに ドアカット を確認することができましたので、改札口を抜け外に出ることにしました。


田浦駅 改札口

田浦駅 切符売り場

 2007年まで みどりの窓口 がありましたが、指定席券売機 が設置される代わりに、みどりの窓口 は無くなってしまいました。

田浦駅 南口

 南口 には広場があり、タクシー乗り場や路線バスの乗り場もあります。しかし、コンビニのようなお店はありません。


北口と南口を結ぶ跨線橋

 この 跨線橋 からも、高い位置から 上り列車ドアカット の様子を確認することができます。

横須賀線 田浦駅 成田空港行き 8:58発

 この写真は、跨線橋 から撮影しています。ドアカット の様子を確認していただけるかと思います。

田浦駅 北口

 北口 は狭く、駅前広場と言えるようなスペースはありません。

 このあとは、いよいよ 米軍田浦専用線 の線路跡をめぐります。




【 米軍田浦専用線 】

 田浦駅 北口 から、米軍田浦専用線 の線路跡を求めて歩き始め、まず @地点 に到着しました。なお、最後に地図を載せますので、記事中に記載する丸数字がどの地点になるのか、その地図をご参照いただければと思います。

【 @地点 】

@地点から南側(田浦駅方向)を望む


 ここから先、田浦駅 まで繋がっているはずなのですが、雑草が生い茂っていますし、柵もあって立ち入り禁止になっています。
 なお、この地点で 北側東側(長浦トンネル方向) へと線路が分岐していました。


【 @地点 】
同じく@地点

錆ついてはいますが、線路の脇によくあるやつですよね。

【 A地点 】

A地点から南側(田浦駅方向)を望む


【 A地点 】
同じくA地点から東側(長浦トンネル方向)を望む

線路があった部分は、明らかにアスファルトの色が違います。

【 B地点 】

B地点 踏切


 南側(田浦駅方向) から 北側 へ道路を渡る個所に、踏切の警報機 が残っています。この 警報機 も撤去されてしまうのでしょうか。


【 B地点 】
同じくB地点 軌道内立入禁止を知らせる看板

 ここに限らず、この看板が何か所もありました。最初の@地点でもそうですが、柵を越えて無理に進むようなことは慎んだほうがよいと思います。もしこのサイトをご覧になって、この引き込み線跡を訪れようと思う方がいらっしゃいましたら、充分に気をつけて下さい。

 この後、道路を渡って 東側(長浦トンネル方向) へ進んでみることにしました。


【 C地点 】

C地点から東側(長浦トンネル方向)を望む


市道の工事が進み、すでに線路は撤去されていました。

【 C地点 】
同じくC地点から反対側(西側)を振りかえる

この線路も、工事が進めば撤去されてしまうと思われます。

【 D地点 】

D地点から東側(長浦トンネル方向)を望む


 線路はもうありませんが、線路を撤去してアスファルトで埋めたと思われる部分が跡になっておりたどることができます。しかし、この跡は 長浦トンネル に入るころには自然となくなってしまいました。
 引き込み線 があったのはこの辺りまでだったのだろうと思われますので、ここから引き返し 西側 へ向かうことにします。


【 E地点 】

E地点の平面交差


 南側(田浦駅) から 北側 へと向かっていた線路(写真の左右方向の線路)と、東側(長浦トンネル) から 西側(相模運輸倉庫) へと向かっていた線路(写真の上下方向の線路)が 平面交差 しています。
 読売新聞 に載っていた写真は、角度は違いますが、この地点で撮影したものだと思います。


【 E地点 】
同じくE地点から北側を望む

 本当は、ここから 北側 へ向かう線路跡をたどりたかったのですが、門が閉まっていて 関係者以外立ち入り禁止 と書いてあります。
 門の右側に隙間がありますし、無理に進もうと思えば進めなくはなさそうですが、いろいろと迷惑をかけることになりそうなんでやめておきました。残念ですが、仕方ありません。


【 F地点 】

F地点の平面交差


 2つ 平面交差 が写っていますが、奥は E地点 で撮影したものです。
 南側(田浦駅) から 北側 へ向かう線路は、道を1本挟んで2本ありましたので、平面交差 も2か所あります。
 北側 へ行くことはできませんので、さらに 西側(相模運輸倉庫方向) へと進むことにします。


【 G地点 】

G地点から西側(相模運輸倉庫方向)を望む


埋もれそうになりながらも、なんとか線路が続いています。

【 H地点 】

H地点 吾妻橋


 H地点 の川を渡る個所に 吾妻橋 という橋があります。以前はここに 鉄橋 があったらしいのですが、今はありません。


【 H地点 】
H地点 鉄橋の名残り?

 この橋台の部分は、鉄橋 があった名残りなのかもしれません。

 さらに、西側 へと進みます。


【 I地点 】

I地点から西側(相模運輸倉庫方向)を望む


【 J地点 】

J地点 横須賀港湾合同庁舎の前


 横須賀港湾合同庁舎 の前で線路が分岐しています。
 といっても、直進する線路はすぐに行き止まりになってしまうようでしたので、左へ進む線路をたどることにしました。


【 K地点 】

K地点から西側(相模運輸倉庫方向)を望む


ほとんど埋もれていますが、なんとか線路が続いています。

【 L地点 】

L地点から西側を望む


引き込み線 の終点が近づいてきました。

【 M地点 】

M地点 引き込み線の終点


 海上自衛隊船舶補給所 の入口の手前で、引き込み線 は終わっていました。

 最後に地図を載せておきます。
 この地図は、国土地理院1万分の1の地形図横須賀追浜 から必要な部分を貼り合わせて作成しました。




 以上で、米軍田浦専用線 はおしまいです。

 このあと、田浦駅 へ戻り、10:11発の 横須賀線 に乗車し 田浦駅 をあとにしました。

 田浦駅 では、ドアカット についてあらためて観察してみるとなかなか面白かったです。
 また 米軍田浦専用線 では、すでに線路が撤去されてしまっていた個所もありましたが、まだ残っている個所もたくさんありました。やはり今のうちに訪れておいてよかったと思います。
 もし、田浦駅 に興味を持って訪れる方がいらっしゃいましたら、少しでも参考になれば幸いです。



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